FC2ブログ

北朝鮮 「宇宙発射体」なるものを発射 韓国軍

spob.png

北朝鮮が南の方角に向けて「宇宙発射体」を発射したと韓国軍が発表しました。

北朝鮮は、「人工衛星」の打ち上げを31日午前0時から6月11日午前0時までの間に実施すると予告していました。

「宇宙発射体」という奇妙な用語が出てきましたね。


 宇宙発射体 
"space launch vehicle"


""で囲まれているのは、広く通用する表現ではなく、誰かが勝手に命名した特有の用語である場合が多くなります。

「宇宙発射体」もその一つです。

これまでにも、北朝鮮が発射するものには、いろんな表現が使われてきました。

 projectile  飛翔体

 satellite  人工衛星

 missile  
ミサイル

projectile は「飛翔する物」の総称で、飛行機からロケットまでさまざまです。これも「宇宙発射体」と同じように本質を避けた表現ですね。

satellite についても、これは北の受け売りです。

要するに missile と呼べば済むことなのに。



 記事の英語 

North Korea fires ‘space launch vehicle’ towards South
北朝鮮が「宇宙発射体」を南へ発射



Jアラートが出たそうですが、日本には飛来せずとのことです。


hole up - 長野立てこもり 3人死亡 市議会議長の息子の身柄確保

hup.png
長野県中野市で男が猟銃を発砲するなどして3人が死亡しました。男は民家に立てこもっていましたが、警察が身柄を確保したという情報が入ってきました。


 hole up 
立てこもる


みなさんは、意外とこの英語を知らないかもしれません。

動物などが穴に「隠れる」「冬眠する」、人が「身をひそめる」「立てこもる」などにあたる句動詞です。

 hole   からきた表現であることが想像できますね。

3 dead after attack in central Japan; suspect with rifle and knife holed up in building
中部日本で3人が襲われ死亡、猟銃と刃物を持った容疑者は建物に立てこもる

自動詞のように使うこともあれば、(be) holed up と他動詞のように使うこともあります。

She was holed up in the mountains somewhere, trying to avoid the media.
メディアを避けようとして、彼女はどこかの山に身を潜めた。

「立てこもる」の表現は、他にもあります。

 lock oneself up 
(みずからを)閉じ込める ⇒ 立てこもる

このような組み立てです。

The scientist locked himself up in a lab for seven days in a row to complete his experiments.
その科学者は、実験を完了するために7日間連続で実験室に閉じこもった。



情報では、容疑者は中野市議会議長の息子らしく、発砲した現場から議長の住宅に逃げ込み立てこもっていたそうです。

いろいろと事情がありそうな事件です。


compare - ウクライナの戦禍を広島に例え ゼレンスキー大統領

compare.png
広島のG7サミットが終わりました。

ウクライナのゼレンスキー大統領が特別参加し、ロシアの侵攻を受けたバフムトについて、広島に例えて「必ずこのような復興が将来ある」と強調しました。


 compare A to B 
AをBに例える・なぞらえる


compare は基本的な動詞ではありますが、前置詞の使い方には要注意です。

というのも、to の場合と with の場合があるからです。

「例える」の場合には to です。

Zelensky on Sunday compared the "total destruction" of the Ukrainian city of Bakhmut to the 1945 devastation of Hiroshima
ゼレンスキー大統領は日曜日、ウクライナの都市バフムトの「完全な破壊」を1945年の広島の惨劇に例えた。

もう一つがこれです。

 compare A with B 
AとBを比べる・天秤にかける

Some parents always try to compare their children with others.
自分たちの子供を、他の子供といつも比べようとする親がいる。

厄介なのは compare A to B でも「比べる」の場合があることです。上の例文は

Some parents always try to compare their children to others.
とすることもできるからです。

to/withについて、細かな場合分けができなくもないのですが、きれいに分けることは難しいと思います。英語の compare のコンセプトと日本語訳のコンセプトが微妙に違うからでしょう。そういう場合は英英辞典で本質的な意味を考えるととても役立ちます。

まずは「例える・なぞらえる」の場合は to を使ってください。



近年のサミットはあまり盛り上がらず、G7の影響力の限界を露呈していると言えます。

主催国には何かの目玉となる仕掛けが必要で、岸田総理にとってはゼレンスキー氏を広島に迎えることがそれだったのだと思います。

何も事件がなく安全に閉幕してよかったです。

prompt engineering - 人工知能からベストを引き出せ

pte.png
Artificial intelligence「人工知能・AI」の世界は日進月歩です。

用語も訳さずにカタカナばかりで、なかなかついていくのが大変。

この界隈で今熱いのが、これだと思います。


 prompt engineering 
プロンプトエンジニアリング
(高精度のアウトプットを得るための質問構築技術)


Wikipedia より
AIが実行すべきタスクの説明を、明示的に与えるのではなく、たとえば質問として入力に組み込む。プロンプトエンジニアリングを機能させるために通常、1つ以上のタスクをプロンプト(命令)に基づいたデータセットに変換し、「プロンプトベース学習」または単に「プロンプト学習」と呼ばれる方法で言語モデルを訓練する

英語としては、このような組み立てです。

 prompt  
AIに対する)指示・命令・プロンプト
 engineering  
工学・エンジニアリング

prompt engineering とは、AIに精度の高いアウトプットを出させるための質問構築技術を指すのです。

有名なのは、もちろん ChatGPT ですね。

GPT とは、Generative Pre-trained Transformer の略です。

直訳すれば「事前学習をした生成的な変換プログラム」で、いわゆる

 generative AI  生成系AI

にあたります。



プロの翻訳者も、結構ChatGPTに触れる機会が増えてきました。

私も、一部の仕事でChatGPTのAPIを組み込んだツールを使っています。そのときの prompt の設定次第で結果が大きく異なってきます。

大変便利な時代になってきた一方で、職人技の価値が相対的に下がってきていることを実感しています。

feature - TIME誌が岸田首相を特集 「軍事大国」の表現で物議

ftr (1)
アメリカのタイム誌が、岸田首相とのインタビュー記事を掲載しました。

カバーページには大きく首相の写真が掲載されています。

一方タイムに対し、外務省が見出しと中身が異なっているとして異議を伝えたと報じられています。


 feature 
特集する・特色づける・
呼び物にする


この feature という動詞、日本語ではとても扱いにくい単語の一つです。

そもそも、正しく発音できていない人が多い。「フューチャー」と言ってしまう人が多いのです。

発音はfíːtʃər(フィーチャー)ですからね。

また、その意味も日本語になりにくいのです。今回の様にメディアが主語だと「特集する」で簡単なのですが。

Time Magazine Features Kishida on Cover
タイム誌が岸田氏を表紙で特集する

主語がイベントの場合は少し難しくなります

The Gion Festival in Kyoto features dozens of "Yamahoko" floats parading on major streets of the ancient capital.
祇園祭は、古都の大通りをパレードするたくさんの「山鉾」を呼び物としている。

feat. と省略形が使われることもありますが、特別なアーティストが他の人のアルバムに参加する場合などは、もうカタカナを連発するしか伝えようがありません。このとき「呼び物にする」では違和感がありますよね。

A special album featuring Bob Marley
ボブ・マーリーをフィーチャーしたスペシャル・アルバム



メディアがどのような見出しやテキストを掲載するのかは、そのメディアの自由ですが責任も伴います。TIME誌は防衛費の大きさだけを見ているのか、実質的な部分も考慮して「軍事大国」と呼んだのか、聞いてみたいところです。

一方、政府側が注文をつけるのも自由ですが、近年は民間報道に細かく物を言うようになった感は否めません。



石川県で震度6強 余震相次ぐ

snd.png
石川県能登地方では震度6強の揺れを観測したあと地震活動が活発で、気象庁は1週間程度は同じ程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。


 震度 
(seismic) intensity scale


「震度」は日本特有の地震の揺れを表す基準です。世界的には

 magnitude  マグニチュード

を使いますよね。でも日本では逆にピンと来ない場合が多いです。

 shindo  震度

としてもよいのですが、日本人や日本在住の外国人にしか伝わらないかもしれません。そこで

"shindo "seismic intensity scale 
"shindo" earthquake intensity scale 
地震強度の基準・尺度

と説明する必要があります。

ちなみに、 seismic  は 地震に関する という形容詞です。



このような違いも知っていれば、完璧ですね。

throw one's hat into the ring - バイデン大統領の高齢出馬に懸念

rhr.png
バイデン米大統領は2024年のアメリカ大統領選に立候補することを表明しています。

現在すでに80歳の彼。高齢に懸念も出ています。


 throw one's hat into the ring 
立候補する・出馬する


今回はこのイディオムを見ておきましょう。

文字通りに解せば、「帽子をリングに投げ入れる」となりますが、なぜ「立候補する」となるのでしょうか?

由来としては、その昔、リング内にいるボクサーに対して、観客が「我こそは」と挑戦する際に、リング内に自分の帽子を投げ入れたのだそうです。このことから「挑戦する→競争に参加する→立候補する・出馬する」という意味で使われるようになりました。

つまり、選挙に限らず「競争」であれば使えるとも言えますが、典型的には大きな選挙の注目候補が出馬する場合に使われるようです。

また、throw のかわりに

 toss  (軽く)投げ入れる も使われます。

= toss one's hat into the ring 



 ツイートの英語 

Biden is throwing his hat into the ring for the 2024 election.
バイデン氏は2024年の選挙に出馬している。



年齢で人の能力を測ることには抵抗がありますし、そのこと自体がステレオタイプだとも言えるでしょう。

ただ、下の世代のチャンスを奪うことも事実ですから、難しいものです。